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吹奏楽指導教材研究 吹奏楽運営法資料パート3

2.吹奏楽部運営上の問題を解決するために
参考資料2 (吹奏楽部顧問へのアンケート)

● 教育現場における吹奏楽アンケートから

日本吹奏楽連盟に加盟する団体数は、平成19年の時点で14,121団体 (2007年10月1日現在)を数える。その内、吹奏楽コンクールへの参加率は、各部門とも加盟団体の7割以上であり、団体数増加の傾向は、今後も続くものと考えられる。現状の小子化傾向にあっても、中学校、高等学校部門における加盟団体数とコンクール参加率は、依然全体の9割近くを占めており、中学校高等学校における吹奏楽活動の中心的行事としてコンクールが在ることがわかる。今日、激動する社会情勢の影響を受け、日本の吹奏楽界も大きな転換期を迎えているが今後の吹奏楽に関わる(音楽全体ともいえる)青少年の健全な成長のために我々は立場を越えて改革のために努力せねば、日本のスクールバンドの衰退は火を見るより明らかである。今回のアンケート結果が今後の吹奏楽界の新しい方向を示す第一歩になれば幸いである。

実施されたアンケートの項目
●       全校生徒数について
●       部員数について
●       ここ数年の部員数の傾向について
●       顧問の担当教科について
●       運営について(男子部員が極端に少ない部において)
●       途中退部の理由として考えられることは
●       男子部員が入部しない理由
●       部員勧誘方法として一番多かった活動の回答
●       運営費について
●       PTA及び後援会等からのバックアップについて
●       楽器の割り当てについて
●       楽器メソードの使用について
●       合奏メソードの使用について
●       演奏及び練習の選曲は誰が決めているか
●       部活動における活動日数や活動時間の制限について
●       学校の5日制が部活動に与える影響は
●       部活動の練習時間について
●       第2、第4土曜日の活動について
●       日曜日の活動について
●       各楽器のトレーナーについて
●       謝礼金について
●       合奏トレーナーについて
●       活動の現状について
●       参加しているコンクール等について
●       地方公共団体等への参加について
●       定期演奏会の開催について
●       部として特別な活動への参加について
●       市民バンド等への学校の開放について
●       楽器並びに指導について
●       部員が楽器を始めた理由について
●       使用楽器について
●       楽器の修理、メンテナンスについて
●       楽譜、ビデオCD等について
●       楽譜の入手について
●       使用楽譜について
●       楽譜代について
●       1年に何曲アレンジしてもらえるか
●       アレンジ料について
●       ソフトについての情報
●       その他要望について
●       部活動の方向付け
●       各協会とのイベントについて
●       希望する講習会について

(1)吹奏楽部の現状での問題点

現状における運営上の課題のうち活動の条件として揚げられるものは、
○練習システムが確立していない     ○部員数の確保ができない
○楽器購入等の費用           ○部員の意欲と質
○練習場等学校の規模や設備       ○保護者の理解を得ること
○練習時間や日数等の活動時間の確保   ○学校の協力体制づくり

などがある。また、指導者自身の問題として、

○管打楽器の知識がない(専門外である)
○指導法についての知識がない
○生徒とのコミュニケーション等の生活指導面の悩み
○指導に充てる実際の時間が少ない
○曲を知らない
○合奏やアンサンブルの経験が少ない。

等が挙げられる。この他の問題点として、中学校では部活動の指導の時間を他の時間に充てたい。教員の高齢化の影響(かつて頑張っていた先生方の昇進、教育委員会、指導主事への栄転等)部員の塾通い、近隣からの騒音の苦情。高校では、音楽系の部活が複数あるため練習場所の確保が難しい。中学校時の厳しい指導のため入部したがらない。アルバイトや遊びたいなど、部活敬遠の傾向等が挙げられる。

(2)アンケートから読みとれること

吹奏楽部の部員数は、中学校では37名、高等学校では40名が平均的な部員数である。そのうち、男子生徒の占める割合は、中学校では約1割、高等学校では、全体の約4分の1である。部員数は年々半数以上の学校で減少するする傾向にあり、中学校では女子だけの学校も増えている。

かつて生徒が楽器を始めた理由は、親兄弟の影響の他に、演奏できたらかっこういいという純粋な理由によるものであった。しかし、減少している男子が入部しない理由は、中学校では保護者が運動部を勧めることもあり、スポーツ系の部活動に男子生徒が流れる結果となっている。また、活動に魅力を感じていない(運動と違い、すぐに結果がでない、楽譜が読めないなど)ことも理由の一端となっている。高校では、スポーツ系の部活動が主流なだけでなく、アルバイトがしたい、遊びたいなどの他に、中学時代の吹奏楽部の経験から、(厳しくて)いやになってしまった、等が減少の理由として挙げられる。また、進学等の問題が途中退部や入部しない原因になっている。そこで部員獲得のために、吹奏楽部は全力を挙げて新学期の勧誘にあたっている。

具体的には、入学式やオリエンテーションでの演奏、ポスターやチラシ、部員による直接勧誘、体験入部、歓迎演奏会、高校では合格発表と同時に勧誘のはがきを出したり、入学説明会での演奏、中学校との合同練習など、まさに涙ぐましい努力を展開している。

●顧問の担当教科について

中学校では、8割音楽科の教諭であるが、高等学校では半数が他教科の先生である。音楽科の先生の専門は、ピアノ、声楽でほぼ半数を占めており特に中学校では吹奏楽の指導に不安を持っている先生が多いことがわかる。吹奏楽部の指導運営を考えたとき、生徒指導資金面等、多方面にわたる様々な雑務をこなしていく必要があることを考えると吹奏楽の顧問で他教科であっても自分の吹奏楽経験を生かして優れた活動をしている先生が多くいることも肯ける。

●指導者の意識について

現時点で言えば、コンクールによって、全日本吹奏楽連盟の大きな目標であった吹奏楽の普及と編成の充実と統一、演奏レベルの向上に関しては、概ね達成された感がある。しかし、その一方で、教育という立場から、コンクールに参加する側の「勝利至上主義」とも言える指導者の意識とコンクール中心の部活動のあり方に対する強い批判があることも事実である。その問題点の一部をあげると

・ 学校教育における部活動の位置づけの問題
・ コンクールに対する部員や指導教師の加熱した競争意識や練習時間の問題。
・ 吹奏楽部運営に関する金銭的な問題(楽器編成と維持のために必要な経費の問題)
・ コンクールの成績と教師の出世について(コンクール優秀校の指導者が出世?やっかみ?)
・ コンクールの実施方法や審査方法に関する問題点。
・ コンクールで「賞」を獲得することを目的としている部活動のあり方から生じる、生徒の音楽に対する歪んだ意識。(たとえば、演奏を「上手く吹けるか」「ミスしないか」といった聴き方しかできなくなったり、他校の演 奏のあら探しだけをしたり、ミスを喜ぶといった極端な例もある)

これらは、スクールバンドの活動の根幹に関わる問題である。では何のためにコンクールに参加するのか、中学校、高等学校の吹奏楽部顧問に行なったコンクールに対するアンケートの中の『吹奏楽コンクールに参加する意義』について寄せられた回答から、その主なものを挙げる。

「日頃の活動の成果を発表する公的な場である」「活動の意欲向上のため」
「多くの団体の演奏を聴く機会である」「生徒の技術と結束を高める目標である」
「専門家から直接(審査用紙を通して間接に?)指導(評価)を得る唯一絶好の機会」
「若者に一つのことに打ち込み可能性の極限まで挑戦させるために」
「目標に対して努力する姿勢を学ばせる場である」「心から音楽に感動するため」
「音楽的・人間的に成長する場である」「技術的・人間的に向上するチャンスである」
「より本物の音楽に近づき演奏技術の向上とそれにともなう感動のため」
「自分たちを高める目標であり目的ではない」「定期テストのようなもの」
「外部から認められ(良い賞をとれば)援助を受けられるようになる」※
「部員全員で一つの目標に向って努力し、それを成し遂げたときの感動は他の何にも変え
られない。高いレベルで追求された表現からは深い感動が得られる」
「指導者間の質の高い情報交換の場であり、研究の機会である」
「ステージ演奏の緊張感とそれに向けた練習から集中力と精神力を養う」

等、吹奏楽という演奏活動を通して、生徒の音楽的・人間的な教育の場として捉えていることが判る。

音楽コンクールにおける教育的意義については

○長期にわたる練習の過程を通して真実の友情に触れ、生徒が人間的に成長することと共に、メンバー全員が協力して一つの演奏を仕上げたのだという彼らの人生にもかかわるような、音楽ならでわの感動と喜びを、心と体で体験すること。
○各々の教師が他校の演奏を聴くことにより、現状での全体的平均的水準を把握すると同時に自分の学校の状況を正しく把握し、その後の活動に際しての一助とすること。
○生徒一人一人がコンクールに参加することによる躍動的な感動体験に誘発され、その後の活動におけるレベルアップの原動力となることであり、これは吹奏楽コンクールにも言えることであろう。しかし、「参加する以上最高の賞を目標に努力する」と口頭で答えた指導者も多かったことを考えると、その本音にある部分は、コンクールにおいて金賞なり、優秀な成績を獲得し、さらに地区や県の代表になることで初めて、学校の中の部活動の評価として、校長以下、職員や父兄の理解や協力が得られたり、市等の行政から援助を受けられる等のバンド運営に必要な条件が整うといった現状が背景にあると考える。このように、参加する団体それぞれの実態と指導者の方針によって、吹奏楽活動の意義づけがされているが、指導者にとって日頃の活動や指導の積み重ねが、音楽的にどのようなレベルでなされ、その日の演奏にどの位実現することができたかを厳正に評価される瞬間であると同時に、指導者自身の音楽性と指導力が問われていることは言うまでもないことである。

●運営費について

吹奏楽部運営のためにかかる多額な運営費の資金源としては部費(年1万円から2万円が平均的)生徒会予算(5万円から10万円)私学や高校では多い場合もある。PTA及び後援会等からのバックアップ市町村教育委員会からの援助、他に演奏会のチケット収入及び、広告収入等がある。各団体とも資金面では相当苦労しているのが実状である。

●楽器の割り当てについて

楽器編成についてであるが、小・中編成のバンドが大半を占める現状を考えると、生徒の希望を尊重しつつも学校の現状にあわせなければならない事情もある。前述の資金面と関連して楽器購入の問題も大きい。

●楽器メソードの使用について
合奏メソードの使用について

8割以上の学校が活用しているが、使い方がよくわからないという指導者の悩みも聞く。更に、現状にあうメソードの開発とマニュアル化が望まれる。

●部活動における活動日数や活動時間の制限について

年々縮小の傾向にあり、学校の5日制が部活動に与える影響は大きい。第2、第4土曜日の活動についてもこれを禁止している学校も多く、練習時間がますます、減少している。
更に、練習システムの確立と効率化は吹奏楽にとっての最大の課題であろう。その対策の一つとして、数万円の謝礼で、各楽器及び合奏トレーナーを依頼する学校も現状より増えてくるのではないか。この謝礼金を支えているのも部員や教師の個人負担である。

●活動の現状について

活動の活性化のために、各学校が参加している行事としては、吹奏楽コンクールの他にアンサンブルコンテスト、マーチングコンテスト、日本管楽合奏コンテスト、ソロコンテストなどがある。また、地方公共団体等のイベントへの参加、定期演奏会の開催、老人ホームへの慰問、そして学校行事の積極的参加などが挙げられる。ただし市民バンドへの学校の開放等、社会人バンドとの交流については全く消極的で、地域一帯となった活動の支援、生徒の卒業後の活動の場の設定も含め、生涯教育の一環としての吹奏楽活動という視点では立ち後れているというのが現状である。

●使用楽器について

編成中、中学校では8割以上が学校備品であり、約半数が個人持ちである高校とは対称的である。顧問の所有楽器等もある。これは吹奏楽活動が顧問の大いなるボランティア(犠牲?)で成り立っている証である。これに対し吹連や自治体からの貸し出し楽器はほとんどないのが現状であり、その支援が望まれる所である。

楽器の修理、メンテナンスについては殆どが、楽器店に依存されている。また、楽譜、ソフトについての情報、ビデオCD等や、その入手についても楽器店の紹介によるところが大きい。また、使用楽譜について、楽譜代も部員や顧問の負担で賄われているのが現状である。

演奏及び練習の選曲はに関しては、民主的に生徒との合意の元で決定している学校が大半である。また、年に何曲かアレンジを専門家に依頼しているバンドも多い。アレンジ料についても部員や顧問の負担によるものである。

●現場が諸問題の解決策として望んでいる声を挙げると

教育委員会など行政に対しては、中高ともに楽器購入に対する予算の増額・援助
部活動の社会教育への移行
行政からの指導者の派遣
ホールの無料開放や割引の措置
行政からの楽器の貸し出しシステム
吹奏楽指導の出来る教員の配慮した人事異動
吹奏楽活動や音楽活動への理解と援助
部活動の意義を理解してほしい(特に文部省)

●吹奏楽連盟や日本吹奏楽学会への要望

中学校の課題曲の質の向上
小編成を含めた底辺の拡大を目指したコンクールコンテストの開催
小編成のアレンジ曲の開発
小編成用のレパートリーの充実
吹奏楽の社会教育への移行を考えてほしい
吹奏楽をマスメディアへの働きかけをしてほしい
地方や地域への講師・トレーナーの派遣制度を作ってほしい
演奏指導のためのvtrを作ってほしい
広く意見の交換を作ってほしい
弱小バンドの意見を全日本吹連に伝えてほしい
インターネットやメールを使っての情報発信
各楽器協会の連係によりクリニックの開催や講師紹介
吹連の組織の再編成
合奏コンテストの充実(学会)

●講習会について

初歩指導の講習会、指揮法、修理、運営法、基礎奏法、アレンジ、セッティング、等の講習会の希望があった。

●各楽器協会から見たアンケート結果に対する意見

コンクール以外の活動に対しての手助けが必要
小編成で充実した演奏が楽しめる曲が少ない
週3日から4日で活動が成り立つような方向付けと雰囲気作り
一般バンドは学校の部活動の延長上にあるので部活動をなくすことはナンセンス
人数が減っても活動を減らさないことが大切

学会への期待度も高いので学会または吹奏楽連盟を中心にあらゆる分野での協力が重要である。メソード、活動日数、トレーナー、楽譜、クラブ運営、その費用などに数値のばらつきが見られ、吹奏楽に対する、教育行政の現場依存の実態と文化面への非積極性が見られる。
各協会の楽器についての高度なノウハウは吹奏楽活動に取り組む教師生徒への大いなる助力となる。
という意見が寄せられた。

このようにアマチュア吹奏楽界に関心を持ち協力・支援に理解を示す協会がある一方、吹奏楽=アマチュアの音楽と見て殆ど関心を持たない、あるいは、現場の状況を全く把握していない協会もあったことは事実である。

今後の日本の管打楽器事情を考えたとき、吹奏楽連盟を含めた吹奏楽に携わる人間と楽器業界、そして管打楽器協会の連携と相互支援及び情報交換は日本音楽界の発展のために、非常に重要なものと思われる。

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